※この記事における評価は直感によるものであり、相対的なものではありません
※二巻以降が発売されている場合、記事作成時点で読んだ全てを対象としています
※記事にネタバレを含む可能性があります
<作品概要>
・タイトル:生のみ生のままで
・ 著者 :綿矢りさ
・イラスト:―
・投稿時点での発行巻数:上下巻(合本版あり)
<評価>
・ シナリオ :★★★★★★★★★★
・ 構成 :★★★★★★★★★★
・ 世界観 :―
・ 雰囲気 :★★★★★★★★★☆
・キャラクター:★★★★★★★★★★
・ テキスト :★★★★★★★★★★
・ 絵 :―
・ 読みやすさ :★★★★★★★★★☆
・ 総合 :★★★★★★★★★★
・ オススメ度 :―
<百合的注意点>
・百合度:―(→中~高)
・男性キャラの登場頻度:高(→低~中)
・ 男性キャラの邪魔さ :―
<感想など>
こんばんは!今日は綿矢りささんの作品「生のみ生のままで」を紹介させていただきます。私の世代で綿矢りささんと言えば、「インストール」、「蹴りたい背中」の受賞作品です。当時がいつなのか、私に記憶はなかったのですが、受賞時の彼女がまだ高校生だったということだけは今でも覚えていました。そんな風に若くして受賞した印象だけが強く残っているので完全に年下だと思い込んでいたのですが、何と調べてみたら私よりも上の方だったんですよ・・・びっくりしました(という事は当時の私は「若いのにすごい!」と年上の作品に対して思っていたのか。いや、すごいのは事実なのだけど)。高校デビューで現在35歳ならもう完全にベテラン作家さんですね。月日の移ろいとは・・・などと柄になく思ってしまいました。
さて、前語りが長くなりましたが作品紹介に移りたいと思います。ただ一点だけ予め伝えておきたいのですが、今から書く内容は私の主観に基づいた、私の価値観で書かれるものになります。私のこれまでのレビュー以上に参考になりにくい、受け入れ難い内容になる可能性があるので、"良い物かどうかだけ分かればいい"という方は上の★の数だけ確認して判断することを推奨しておきます。
「私たちは、友達じゃない」25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣(あい)は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏(さいか)に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘う――
「どんな場所も、あなたといれば日向だ」互いに男の恋人がいるのに、止めようもなく惹かれあう逢衣(あい)と彩夏(さいか)。女性同士、心と身体のおもむくままに求め合い、二人は一緒に暮らし始めた。芸能活動をしていた彩夏の人気に火が付き、仕事も恋も順調に回り始めた矢先、思わぬ試練が彼女たちを襲う。切ない決断を迫られ、二人が選んだ道は……。今まで裸でいても、私は全然裸じゃなかった。常識も世間体も意識から鮮やかに取り払い、一糸纏わぬ姿で抱き合えば、こんなにも身体が軽い――
※紹介文、上記は上巻記載。反転部分は下巻の記載です。ネタバレ回避の為反転させています
さて、それでは今作のお話に入りましょう。
まず今作は、『百合作品ではありません。恋愛小説です』―――と、上巻を読んでいる時は考えていました。ただ、下巻を読んでから少し考えが変わりました。上巻においてのお話は、お互い恋人のいる女性同士として出会った二人が恋に落ち、惹かれ合う様子を描いています。敢えてネタバレは書きませんが、"考えが変わった"という私の記載で凡そは知れる事でしょう。ただ一点だけ、私がこの作品を百合作品であると認識したのはそういう理由ではありません。私は上巻を全部読み切った段階でも、先の考えは変わっておらず、あくまで考えが変わったのは下巻を読んでからだからです。その考えが何故変わったかについては、下巻に触れるとどうしても上巻の内容が避けられない為記述しません。一応の参考情報として、上記評価項目にある()内の部分は下巻を読んでの私の考えだと思っていただければと思います。
この作品を読んでいる時に私にあった感情ですが、これは常時"不安感"のみでした。紙の本でも同様の事を考えてしまう方がいるかと思うのですが、『残りページ数の多さにひどく心をかき乱される』のです。同時に絶対に途中で読むのをやめることが出来ない強い力があると思います。私は今作を電子版の"合本版"として購入していますが、仮に電子で購入するにせよ、合本版でもかかる金額は変わりません(サイトによって違ったらごめんなさい)。なので、個人的には上下別で購入する事をお勧めしておきます。何となくですが、人心地付けた方がいい気がするので(止められないにせよ)。
作品は主人公である南里逢衣の視点による一人称で進みます。彼女の心の移り変わり、機微が子細に描かれた様子は私が言うのも烏滸がましいですが流石の一言。またもう一人の主人公である荘田彩夏の心情描写が、本人が語らない限り見ることが出来ないのも、この作品の良さだと思います。
最後にもう一度言いますが、『この作品は百合小説です』。私の記載に、或いは今までの紹介などに共感していただける方は、是非買って読んでいただければと思います。
それではノ
※リンクは上下巻と合本版のそれぞれを貼らせてもらいました
P.S.)何かもう読まずにスクロールするだけで今回の私の熱量が伝わりますね(笑)
最近は極力短く、「お勧めかどうかだけが伝わるように」していたのですが、気付いたらこうなっていました。参考にしていただければ幸いです。