※この記事における評価は直感によるものであり、相対的なものではありません
※二巻以降が発売されている場合、記事作成時点で読んだ全てを対象としています
※記事にネタバレを含む可能性があります
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<作品概要>
・タイトル:その日、朱音は空を飛んだ
・ 著者 :武田綾乃
・イラスト:カシワイ
・投稿時点での発行巻数:1巻(完結)
<評価>
・ シナリオ :★★★★★★★★★★
・ 構成 :★★★★★★★★★★
・ 世界観 :―
・ 雰囲気 :★★★★★★★☆☆☆
・キャラクター:★★★★★★★★★☆
・ テキスト :★★★★★★★★★★
・ 絵 :(表紙のみ)
・ 読みやすさ :★★★★★★★★★☆
・ 総合 :★★★★★★★★★★
・ オススメ度 :★★★★★★★★☆☆
<百合的注意点>
・百合度:低~中
・男性キャラの登場頻度:高
・ 男性キャラの邪魔さ :―
<感想など>
はぴば、とぅみー!
そういうわけで誕生日でした。今年も無事に歳を重ねて、何ともう34です。そろそろ人生折り返しも見えたか、或いは過ぎているのでしょうか。今年一年は本当に、本当に何もなかったですが、次の一年はどうでしょうね。転職をするかどうかで大きく変わりそうです。
さて、私事はさておき今回紹介するのは「響け!ユーフォニアム」で有名な武田綾乃さんの小説です。以前別作品「青い春を数えて」も紹介したことがありましたね。
学校の屋上から飛び降りた川崎朱音。彼女の自殺の原因はーーそもそも本当に自殺だったのか。
ネットに流れる自殺現場の動画を撮ったのは誰? 映っていたのは誰?
いじめはあったのか、遺書はあったのか。
クラスメイトに配られたアンケートから見え隠れする、高校生たちの静かな怒り妬み欲望……。
少女の死が、歪められた青春の真実を明らかにする。
友達は大切? 自殺したら負け? 二度と戻らない大切な時間? 誰もが通る道?
ーー「私たちの青春を語るな」
この作品に関しては紹介に乗せるかどうかちょっと悩んだのですが、うちのレビュー目的の一つが"百合作品であるかどうか、買った方がいいかどうかの判断材料にする"というところもあったので、気になる人がいそうではあるかと思ったので載せる事にしました。
―――とまぁこの書き出しでわかるように、本作は百合作品ではないです(実際のところ言うまでもないかもしれませんが・・・)。この作品はエピローグとプロローグを除いて全七章仕立てとなっています。各章ごとに視点が変わって、カギとなる川崎朱音の自殺の件について各々の視点から物語を紡ぎます。語り手となっているのは男性が二人と女性が五人。主要キャラは男性が三人と女性が七人(五人)といったところでしょうか。
シナリオの構成が非常に上手く、伏線の回収の仕方がとても綺麗で、読んでて手を止める事の出来ない良作でした。それぞれの語り手から見た誰か、それが代わって本人の視点になる時に見える内面の、その差異が本当に丁寧に、上手に表現されていると思います。ちなみに百合作品ではないと言いましたが女の子同士のカップルもいたりします。また、本作の中心人物でもあり、本作中にて一人の、ただの女子高生に過ぎなかった川崎朱音。彼女の幼馴染に対する感情、執着もまた恋に近しい、それと同等の強さを持った愛だったように思います。
上記評価の通り私の作品に対する評価は文句なしのマックス。とはいえいつもの事ですが、百合作品を求めている人に対して勧めるかと言うと・・・ですね。何故彼女は空を飛んだのか。飛んで、どうなったのか。それが気になった人は読んでみてください。
それではノ
※今だけなのか恒久なのかわかりませんが、電子書籍版(kindle版)が紙媒体の55%offの値段で買えるようです。元の値段があれなのでそれでも普通の文庫一冊の値段はしますが・・・折角なのでよろしければ。
P.S.)ちなみに私が読んで、登場人物の中で一番好きになったのは夏川莉苑です。ついでタイトルの少女である川崎朱音・・・かな。多分特殊な嗜好な気がしますが・・・どうですかね。ここのサイトをよく見る方だと"ああ、そうっぽい"とか思われたりするかしら(そういう人がいればですが・・・)。
P.S.2)『その日、朱音は空を飛んだ <だから何?>』この最後の文章に、作品の殆ど全てが集約されているのでしょうね。この一言を読んだとき、心臓がドクッと、一度跳ねたような気がしました。怖いとか恐ろしいとか、そういうものと違う、複雑な想いを感じました。「これはきっと、あの学校に通う生徒の殆どの想いではあったのだろう」そんな感想を抱く人が多い・・・のかな? 私はこれを読んだとき、『だから何?』と、書き加えたのは果たして誰なのだろうと考えました。莉苑が書きそうには思えないし、純佳も書かないでしょう。男性(男子)的な感想にも思えません。語り手の中では細江愛は一見するとピッタリきそうで、でも実はそういう感じはしません。何となくですが彼女がこの文章を読んだら『せいせいした』とか、そういう露悪的な事をあえて他人に見せそうな感じ。強いて名前の挙がったキャラで考えると、この文章を一番書きそうなのは桐ケ谷美月ですかね。川崎朱音と意味のある会話をした人間の中で、一番彼女をどうでもいい他人として扱ったのが美月な気がしました。「だって、結局は他人じゃん」 本当に心底から同意できる一言で、ゾッとするような言葉だと思います。
P.S.3)何だか書いてるうちに取り止めがなくなってきたというか、言いたい事がはっきり表せなくなっている事に気付いたのでこの辺で(仮にも文章を書いてるものとしてどうなのかと反省)。